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번역/천성인어[天声人語]17

20150227 천성인어 天声人語 天声人語2015年2月27日(金)付 「三人寄れば文殊の知恵」のことわざがあり、兄弟の結束を「三本の矢」にたとえる故事もある。片や、危うい三角関係もある。3とは不思議な数で、安定と不安定の両面をあわせ持つ。交渉でも何でも、二者より三者の方がものごとは複雑になる。そんなことを思いつつ英国からのニュースを読んだ。両親ならぬ「三人の親」から遺伝子を受け継ぐ子の誕生を認める法案が承認された。遺伝性の難病ミトコンドリア病を防ぐためだ。異常のある女性の卵子から核を取り出して、別の女性の卵子に移植し受精させる。受精卵で行う場合もある。だが問題がある。病気を防いでも、両親と第三者の受精の三人から遺伝子を継ぐという、自然界ではあり得ない存在をつくり出してしまう。「神の領域」の技術をめぐり、賛成派は病気に苦しむ子をなくすことを理由にあげる。一方、この病で娘を亡くした日本の女性は「思い通りの子を求めることに.. 2015. 2. 27.
20141023 천성인어 2014年10月23日(木)付 作家の三島由紀夫は若者に向けて、「教師を内心バカにすべし」と説いた。1950年代末のことだ。この世に尊敬できる先生など存在しない、と言ったわけではない。先生とは生徒に乗り越えられるべき存在なのだと言っている▼三島は書く。少年の悩みを大人は理解できない、いかに生きるかは自分で考えよ、教師に理解なんかされてやらないぞという気概を持て、と。肝心なのは「内心」で思うことで、行動にあらわすのはただのおっちょこちょいだ、と釘も刺している▼三島の『不道徳教育講座』はその題名や軽妙な文章に反し、真面目な内容を語っている。道徳が実は逆説をはらむことを読者に示す。不道徳に慣れて抵抗力を身につけよ、なぜなら善良一辺倒な人ほど悪徳への誘惑に弱いから、といった具合だ▼小中学校の「道徳」が教科に格上げになる。文部科学相の諮問機関、中央教育審議会がおととい答申した。教科書はどうなるの.. 2014. 10. 26.
20140828 天声人語 천성인어 天声人語2014年8月28日(木)付頭から氷水をかぶってびしょぬれになる。全身の筋肉が萎縮していく難病患者への支援を表明する行動だ。「アイス・バケツ・チャレンジ」と呼ばれる。世界中の有名人が続々参加し、彼らの映像がネットで広がって多くの寄付が集まった▼他者の苦しみに対する一人ひとりの想像力が刺激されたのだろうか。それならそのパレスチナ版をやろうと考えた人がいた。イスラエル軍の攻撃を受けるガザ地区住民への共感や連帯を世界に呼びかけよう。ただ、ここでは水は貴重品だ▼現地ジャーナリストは空爆された建物の残骸に目をつけた。「がれき・バケツ・チャレンジ」である。ネットで公開すると後に続く人が出た。砂をかぶったり、敵軍の薬莢(やっきょう)を使ったりした人もいる▼物的な援助を求めるのではない。7月からの大規模攻撃で、ガザでは2千人以上が死亡した。子どもの犠牲者も数多い。惨禍を知った人々がそれぞれの立.. 2014. 8. 29.
20140827 天声人語 천성인어 天声人語2014年8月27日(水)付職場での長い経験から身に染みた教訓がある。組織の中で起きたもめごとをうまく解決するには、当事者同士が顔を合わせて話し合え、ということだ。電話では相手の表情やしぐさが見えない。話を収めるきっかけもつかみにくい▼もっといけないのはメールだ。顔どころか口調も声音もわからない。無機的な文字列の応酬が互いの感情を逆なでし、双方ひけなくなるのを何度か目にした。電脳空間には危うさがあると実感した。生身をさらしあうことの意味は大きい▼クラスの仲間との「話し合い」を通じ、自分の考えを深めたり広げたりできていますか? おととい発表の全国学力調査と同時に行ったアンケートで、文科省が今回新たに設けた質問だ。そう思うと答えた児童生徒の方がそう思わない子よりも成績がよかった。国語でも算数、数学でもそうだった▼1日にどれくらいの時間、スマホやケータイで通話、メール、ネットをします.. 2014. 8. 27.
2014月8月16日 天声人語「천성인어」 天声人語2014年8月16日(土)付 夭折(ようせつ)の詩人、中原中也の作品に「妹よ」がある。〈夜、うつくしい魂は涕(な)いて、/もう死んだつていいよう……といふのであつた〉。現代詩人の中村稔さんは、この詩に強く感動したという▼戦争末期、旧制一高生のころだ。多くの友が中原を愛誦(あいしょう)していた。本が手に入りにくく筆写したという。なぜ中原にひかれたか。中村さんらは当時、「召集間近く、生死の関頭に立っていた」からである▼徴兵されるのは確実であり、そうなれば死は必至と思えた。著書『私の昭和史』で、中原の「生と死の境からうたうような詩境に共感したのかもしれない」と振り返っている。戦時の若者の心のありようが伝わり、読む方の心もひりひりしてくる▼学生に限らない。年長世代の日々にも死の影は差していた。仏文学者の渡辺一夫は当時、40代で東大助教授だった。東京大空襲翌日の1945年3月11日からつ.. 2014. 8. 17.
2014月8月15日 天声人語「천성인어」 天声人語2014年8月15日(金)付 毎晩ウイスキーをボトル3分の1も飲んで、「アル中(ちゅう)ハイマー」と自称していた。『人間臨終図巻』などで知られる作家の山田風太郎(ふうたろう)は飄逸(ひょういつ)の人だ。医学生だった敗戦の年を克明に描いた『戦中派不戦日記』はいまも読み継がれる▼山田青年は1945年8月14日の日記に、「個」を潰しに潰してきた日本の社会に対する痛恨の念を記している。出る杭を打ち、変わり者を追い払う。日本人は「全く独立独特の筋金の入らないドングリの大群」のようになったと嘆いた▼全体主義が支配した戦時中のこととして読み流すことができない。あなた方もドングリになりなさい。そんなささやきが、昨今のこの社会のそこかしこでも執拗(しつよう)に繰り返されているのではないかと危ぶむ▼「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」。この俳句を刊行物に載せることを、さいたま市の公民館が拒否した。世.. 2014. 8. 15.